2011年11月25日金曜日

荒川河川敷質問書

20111125

国土交通省
大臣 前 田 武 志 殿
国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所 
 所長 小 島   優 殿
国土交通省荒川下流河川事務所小名木川出張所
 所長 塩 谷   浩 殿
荒川区河川敷で野宿をする居住者有志
及び         
ホームレス総合相談ネットワーク
代 表 弁護士 森  川  文  人
東京都新宿区四谷1-7日本写真会館4F
マザーシップ司法書士法人内
                    担当 後  閑  一  博
 東京都北区赤羽2-62-3  
                       電 話 0335980444
FAX 0335980445
    

                                    質 問 書

 荒川河川敷で野宿をする居住者有志とホームレス総合相談ネットワークは,連名で以下の質問をしますので,国が措置の期限と定めた,平成23126日までに書面で回答くださいますようお願いします。

質問事項

1.    国は,荒川河川敷(堀切橋付近)において,平成231122日,国関整荒下管第61号をもって,「河川法第75条第1項の規定に基づく河川管理者の監督処分に係る措置を命じる者を確知することができないので,次のとおり措置することについて同条第3項の規定に基づき公告する。」と公告(以下「本件公告」)した(写真①)。
 河川法(以下「法」)第753項とは,「過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないとき」を要件とした,いわゆる「簡易代執行」を指すが,国は,その職員をして,本件公告に先立つ平成231118日,午前630分頃,対象工作物(以下「本件小屋」写真②)の所有者であり,そこに起居するいわゆるホームレス(以下「対象者」)に対して,本件対象の小屋周辺で工事を行うことを告知している。つまり,本件公告の前に対象者に接触しているのであるから,法第753項該当性がないことは明らかである。念のために申し添えるが,この小屋周辺で工事を行うことの告知をもって,本件小屋をフェンスで封鎖することの承諾を得たと主張しているようであるが,対象者は承諾などしていない。
 以上を踏まえて,本件公告は,法第75条第3項の手続き要件が充足してないため無効と認識するが,見解を示されたい。

2.    質問1に関連して,法第75条第3項の簡易代執行の要件は充足していないとしても,対象者に河川法上の違法があれば,行政代執行をすることができるが,本件小屋は対象者の住居である。
 ところで,国連,経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会は,2001924日「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解」として,国に対して,以下懸念を示した。
30.委員会は、強制立ち退き、とりわけ仮の住まいからのホームレスの強制立ち退き、及びウトロ地区において長い間住居を占有してきた人々の強制立ち退きに懸念を有する。この点に関し、委員会は、特に、仮処分命令発令手続においては、仮の立ち退き命令が、何ら理由を付すことなく、執行停止に服することもなく、発令されることとされており、このため、一般的性格を有する意見4及び7に確立された委員会のガイドラインに反して、あらゆる不服申し立ての権利は無意味なものとなり、事実上、仮の立ち退き命令が恒久的なものとなっていることから、このような略式の手続について懸念を有する。」
これに対して国は,0912月「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第16条及び第17条に基づく第3回報告」において,以下報告した。
(パラグラフ57)民事保全法における仮処分命令手続においては、命令にはその理由を付さなければならないとされている(民事保全法第16条)。また、債務者に対して立退きを命ずるような仮処分命令は、債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに限り、原則として口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経た上で、発することができるものとされている(同法第23条第2項、第4項)。債務者は、仮処分命令に不服があれば、保全異議を裁判所に申し立てることができる(同法第26条)。裁判所は、この申立てに対して決定を行い、仮処分命令を取り消すときは、債務者の申立てにより、債権者に対し、原状回復を命ずることができる(同法第32条第1項、第33条)。債務者は、保全異議の申立てに対する裁判所の決定に不服があれば、保全抗告を裁判所に申し立てることができる(同法第41条第1項)。また、裁判所は、これらの債務者の保全異議や保全抗告の申立てに対する決定を行うまでの間、仮処分命令の執行停止を命ずることができる(同法第27条、第41条第4項)。さらに、仮処分命令は暫定的なものであり、最終的にはより厳格な手続である本案訴訟において、立退きの当否が裁判所によって判断されることになる。仮に、債権者が本案訴訟を提起しない場合には、裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出することを命じなければならず、債権者が同書面を提出しなかったときは、裁判所は、債務者の申立てにより、保全命令を取り消さなければならない(同法第37条第1項、第3項)。したがって、最終見解は、前提である法制度について、事実を誤認しているものである。 日本における仮処分命令発令手続を含む立退き命令については、一般的な性格を有する意見4及び7において委員会が明示したガイドラインに反するところはない。
上記より,行政代執行手続きが遵守されたとしても,小屋が撤去されてしまえば,対象者はそこに居住することはできないのであるから,代執行に先んじて立ち退きを求める仮処分の申立が必要と認識するが,見解を示されたい。

3.    国は,本件小屋をフェンスで封鎖し,立ち入るための通路に24時間態勢で監視員を配置している(写真③)が,その目的を示されたい。

4.    国は,平成231115日,本件公告の対象でなく,現にホームレスが居住しない6軒の小屋(以下「非居住の小屋」)を重機で破壊しているが,その法的根拠を示されたい。
 次に,仄聞するに,工事対象となる荒川河川敷に居住するホームレスが所有する工作物を,①ホームレスが居住する小屋,②非居住の小屋,と大分類し,内,②非居住の小屋について,ⅰ小屋の撤去に同意書を得ている,ⅱ小屋の撤去に同意書はないが承諾を得ている,ⅲ小屋の撤去に反対されている,ⅳ工作物所有者を確知することができない,を小分類し,②.ⅰ.ⅱ.ⅳに限り,強行したということであるが,②のⅰ.ⅱ.ⅳの対象の内訳を示されたい。
 さらに,上記②.ⅳに分類される対象者がいると認識しているが,この者の工作物の撤去について,法第75条第3項の簡易代執行を実施したか否か,したとすると,同5項の保管場所及び公示の方法を示されたい。

5.    国は,工事対象区域内に,質問3で①で区分したホームレスが多数いることを承知していると認識しているが,対象者の人数を示されたい。
 次に,ホームレス自立支援等に関する特別措置法(以下「特措法」)第11条は,「ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ、法令の規定に基づき、当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとする。」とあるが,支援等に関する施策との連携の有無,その内容を示されたい。
 仮に,上記が東京都のホームレス自立支援施策との連携であるならば,都の自立支援システムは稼働能力を前提とする施策であるので,上記人数のほか,年齢,傷病の有無等稼働能力の存在を示されたい。
                                                        以上

写真①

写真②
写真③

2011年11月12日土曜日

判例骨子

控訴をしないことの要請書(テキスト)

FAXに加えて、 メール要請もお願いします。

新宿区
160-8484 新宿区歌舞伎町1-4-1
新宿区区長室広聴担当課広聴係
FAX 03-5272-5500
https://www.faq.city.shinjuku.lg.jp/faq/EokpControl?&event=DE0001&cid=58177

厚生労働省
https://www-secure.mhlw.go.jp/getmail/getmail.html

東京都
東京都福祉保健局生活福祉部保護課
S0000226@section.metro.tokyo.jp

東京都生活文化局広報広聴部都民の声課
koe@metro.tokyo.jp
S0000010@section.metro.tokyo.jp
https://cgi.metro.tokyo.jp/cgibin/cgi-bin/fmail_input_disp.cgi?dep_id=ts02&scr_id=f001&lang_opt=00

東京都福祉保健局総務部総務課広報担当
S0000190@section.metro.tokyo.jp


新宿七夕訴訟東京地裁判決に対し控訴しないことを求める要請書

新宿区長 中山弘子 殿(FAX:03-5272-5500 区長室広聴担当課広聴係)
新宿区福祉事務所長 殿(FAX:03-3209-0278 福祉部生活福祉課自立支援係)

本年11月8日、東京地方裁判所民事第2部(川神裕裁判長)は、平成20年(行ウ)第415号生活保護開始申請却下処分取消等請求事件(原告:Y氏、被告:新宿区。「新宿七夕訴訟」)について、原告の請求を全面的に認め、被告である新宿区に対し、平成20年6月2日付で新宿区福祉事務所長がなした生活保護開始申請却下処分の取消し及び、同日から居宅保護の方法により生活保護を開始せよという生活保護開始決定の義務付けを命じる判決を言い渡しました。
本件は、ホームレス状態にあった原告が、アパートに住んで住居を確保した上で就職活動をしたいと考え、新宿区福祉事務所に生活保護を申請したところ、新宿区福祉事務所の職員から自立支援システムを利用するよう強く求められ、原告がこれを断ったところ、「稼働能力を十分活用しているとは判断できない」として、3度にわたり生活保護申請を却下したことに対し、最初の却下処分の取消と生活保護開始決定の義務付けを求めるものでした。
判決は、原告の主張をほぼ全面的に認め、法は不可能を強いるものではないこと、生活保護法4条1項は「当該生活困窮者が、その具体的な稼働能力を前提として、それを活用する意思を有しているときには、当該生活困窮者の具体的な環境の下において、その意思のみに基づいて直ちにその稼働能力を活用する就労の場を得ることができると認めることができない限り」なお稼働能力活用の要件は満たされるとし、原告が稼働能力を活用していたことを認定しました。
このような判断は、生活保護法の本来の理念、現在の雇用をめぐる情勢や原告の年齢、経歴、置かれた状況に照らしてみても至極自然なものであり、被告である新宿区の福祉行政の過ちを断罪したものです。
原告は、自らの生活状況が不安定で非常につらく苦しい中でも、自らのたたかいが自分だけではなく自分と同じようにホームレス状態に陥った方々のためのたたかいと位置づけて、3年にもわたる裁判闘争に耐えてきました。
今回の判決で原告に対する取り扱いが生活保護法に照らして違法なものであると明確に判断された以上、行政の立場にある者としては、誤った行政行為を自らの責任で正す義務があります。
被告である新宿区が控訴をすることは、原告をさらなる裁判闘争にさらすことになり原告の精神的負担を増すばかりか、かつての原告と同様の境遇にあるホームレス状態にある方々をさらに苦境に追い込むものであり、到底容認できるものではありません。
以上の次第ですので、被告新宿区が判決を真摯に受け止め、控訴することなく、直ちに原告への生活保護の開始決定をして所定の金額を支払うことを求めます。そして、今後は、生活困窮者、特にホームレス状態にある者に寄り添った福祉行政をすすめていくよう改めることを求めます。
【意見欄(補足でご意見があればお書きください。)】








名前_____________________

住所_____________________
住所無しでもかまいません。
   
記入日  2011年  月  日 

【文責】 新宿区ホームレス生活保護裁判弁護団事務局長 弁護士 戸舘圭之
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-42-4代々木総合法律事務所
TEL 03-3379-5211 FAX 03-3379-2840

控訴をしないことの要請書